こんにちは。
パラリンピック、車いすラグビーをご覧になりましたか?
(画像引用:NHKパラリンピック「イケイケコンビ(池崎さん・池さん)」)
車いすがぶつかり合う迫力、
ゴールを挙げる制限時間を読み取る緊張感。
いつか、生で観戦したいです。
(「かんせん」とタッチすると「感染」が第一候補になる時期ですが、へこたれないようにします)
今回は、パラリンピック選手のフラー・ヨング氏の記事を基に、「レジリエンス」について記します。
【目次】
1.「レジリエンス」の意味について
2.フラー・ヨング選手(T62(義足) 100m/走り幅跳び)
3.インタビュー記事
4.レジリエンスとセフルカインドネス
5.セルフコンパッションに関する今までの投稿一覧
Contents
1.「レジリエンス」の意味について
最近、「レジリエンス」という言葉を見聞きするようになりました。
どういう意味か分からないので、検索してみました。
もともとは環境保全の領域で「復元力・弾力性」、最近は心の健康の領域で「心のしなやかさ・折れない心」という意味で使われているようです。
もしかすると、パラリンピックが開催されている時期だから「レジリアンス」が流行っているのかもしれません。
参考サイト
・リクルートマネジメントソリューションズ「レジリエンスとは」
2.フラー・ヨング選手(T62(義足) 100m/走り幅跳び)
こちらが、フラー・ヨングさん。
水車とチューリップで有名なオランダの陸上選手です。
(画像引用:NHK 写真の右下に「写真:越智貴雄/カンバラプレス」との記載あり)
両手でお持ちの物は、義足です。
16歳の2012年に、病気で両足を切断。
その4年後に陸上を始められたそうです。
2021年8月29日追記
女子走り幅跳び T64(運動機能・義足) 決勝で世界新が生まれた。両足義足のフラー・ヨング選手(オランダ)、自慢のスプリント力をいかした1回目の跳躍は6m16。自らが持つ世界記録をいきなり7cm更新した。その後も大ジャンプを見せたが惜しくもファール。さらなる記録更新は叶わなかったが、圧倒的な実力を見せたヨング選手は金メダルを手に喜びを爆発させた。(→20210828NHK)
※なにげない謎と不思議、朝礼スピーチのネタは、
→「昭和オジサンが謎を基に、朝礼スピーチのネタをアドバイス」
3.インタビュー記事
以下のブログは、NHK「東京2020パラリンピック」サイトの「リポーター奮闘日記」を引用・参考にします。
記者は、後藤祐季さんです。
まずは、後藤さんがお書きの冒頭箇所を記します。
「パラアスリートたちは、その人生でもって、人間の力強さを伝えてくれる―」
彼らにとって障害は決して克服した(乗り越えた)ものではなく、時には向き合い、時には諦め、時には受け入れて生きてきたもの。
そんな彼らがもっているパワーを、「乗り越えてきた」という一言ではなく、「レジリエンス=折れない心」という言葉で表現できるのではないか。
そう考えた私は、“TOKYO”を目指している世界のパラアスリートたちの「レジリエンス」を取材し始めました。
以下は、インタビューから抜き出しました。
【後藤さん】
-チームメートの存在のほかに、ヨング選手を支えて来たものがあります。それは5年間使える「日記帳」でした。
【ヨング選手】
「日記は毎日書いていて、すでに4年続けています。2018年に大きな手術(断端の伸びてきた骨を削る手術)を受けて、コンディションが非常に悪く、陸上競技に戻れないのではないかと思っていたころからです。例えば、今日は3月18日ですが、同じページで去年、2019年、2018年の3月18日を振り返ることができます。それを毎日やっていると、『いやいや、もっと悪い時があった。まだ大丈夫』と思えるのです。日記は助けになります」
【後藤さん】
-今を幸せと思う。なぜそのように「感謝する気持ち」を大切にできるのでしょうか?
【ヨング選手】
「2018年の手術以来だと思います。陸上に戻ることさえないのではないかと思っていたし、ましてや、世界ランキングのトップに上がろうとは思ってもいませんでした。
今でも感謝の気持ちを持てないときもあります。愚痴を言ったり、自分のパフォーマンスに満足できなかったり。でも不満を抱く時間が短くなりました。数分だけ不平を言って、あとは平気になるんです。
『気持ちを切り替えて。大騒ぎしない。そんなに悪い状況じゃない。切り替えて。大丈夫、できる。明日はまた来る。5分後には違うエクササイズをして。もう大丈夫。大騒ぎしない』と自分に言い聞かせるんです。
今でも落ち込みます。実際、簡単ではありません。でももっともっと悪い状況だったことがありますから、、、大事なリマインダーになるんです。いろいろなことを、当たり前と思ってしまわないこと。私は2019年から2年にわたって絶好調でしたが、パンデミックに見舞われました。どんな(良い)こともいつまで続くかわかりませんから、当たり前だと思ってはいけません」
(画像引用:NHK)
【後藤さん】
―コロナ禍の苦難を乗り越えた経験が、さらに自分を強くしたと思いますか?
【ヨング選手】
「強くなったと思います。みんなパラリンピック・ムーブメントの一員ですので、一段と強くなりましたし、逆境の乗り越え方を学んだと思います。パンデミックはひとつの大きな世界的な逆境ですが、私たちは(自らの障害を乗り越えていることで)その対処の仕方を知っています。パンデミックの乗り越え方、そして身の回りの状況が常に変化し続けている事態への対応の仕方を知っているアスリート群がいるとすれば、他でもない私たちです。パラアスリートは、その辺りのことをオリンピックのアスリートよりも上手くできると思います」
(画像引用:NHK)
【後藤さん】
―障害を負った時が第1の試練とすれば、2018年の手術は第2の試練と言えると思います。いくつもの試練を乗り越えるたびに強くなった、と思いますか?
【ヨング選手】
「そうですね。ただし、振り返って内省すれば、です。家族や、もしくは専門家と話をするなどでも良いのですが、とにかく何が起きたのか振り返り、自分の行動について見つめ直すのです。自分はどう対処しただろうか、そのやり方は良かっただろうか、あまり良くない点はなんだっただろうか、と。時間を割いて自分の中でプロセスのひとつひとつを評価すれば、必ず強くなります。
何も、例えばワクチンを接種した瞬間に『はい、パンデミックは終わった、じゃあ評価しよう』となる必要はありません。時間がかかる場合もあります。それでも良いのです。私の場合、突然に障害者になってしまった事実を乗り越えるのに少なくとも5年はかかりました。年数はかかりましたが、それでよいのです」
【後藤さん】
―ヨング選手はご自身に、レジリエンスという力があると思いますか?
【ヨング選手】
「私にも時々はあると思います。トレーニングでは必ず何か満足いかないことがあって、それを自分で何とかしないといけません。ですから、トレーニングでのレジリエンスを毎日発揮している気がしますが、あくまで少しずつです。でも大きな大会や大事な瞬間が来たとき、その少しずつ発揮したものが集結して、自分の妨げとなるものを打ち負かすだけの強いレジリエンスになってくれることを祈ります。妨げとは、予想していなかったようなことや思い通りにいかないことだったり、想定外のことをしてくるライバルだったりします」
【後藤さん】
―あなたにとって、「レジリエンス」とは?
【ヨング選手】
難しいですね。いろいろな状況に結果として適応することができること。例えば、一方の端から入って、決して見た目はよくないけど経験して、受け入れて、強くなって、もう一方の端から出てくるようなこと。それが私にとってのレジリエンスです」
「いつだって気に入らないようなことは起こりえますが、年月を経て学んだことは、時にはレジリエンスが無いときがあっても良いということです。私にとって大切なことは、レジリエンスがないときはそれでも良いと認めてあげること、悲しかったり腹が立ったりしても良いのです。でも上手くいったとき、レジリエンスを発揮して強くなれたときは自分に誇りを持てば良い。自分に誇りを持てれば、さらに強くなれます。どれだけ周りの人が褒めてくれたり喜んでくれたりしたとしても、最終的には自分自身が喜べるようでないといけませんから」
【後藤さんの独白】
いつもレジリエンスが発揮できるとは限らない。落ち込んだり、八つ当たりするときがあってもいい。強くなれた時の経験を大切にすれば、自信や誇りにつながるはずー
病気や手術で多くの「谷」を経験してきたヨング選手だからこその言葉です。
【後藤さん】
―では、自分の強みは何だと思いますか?
【ヨング選手】
「感謝でしょうか。身につけざるを得なかったものですが、自分にレジリエンスがあることにも感謝をしています。そうでなければ、練習ができる日常にいることはなかったんですから。(今は)自分が何を持っているかわかっていますし、感謝を伝えるためであればなんとしても戦います」
(画像引用:NHK 写真の右下に「写真:Getty Images」との記載あり)
4.レジリエンスとセフルカインドネス
インタビューから、ヨングさんが持つセルフカインドネスをたっぷりと感じました。
みんなパラリンピック・ムーブメントの一員ですので、一段と強くなりましたし、逆境の乗り越え方を学んだと思います。パンデミックはひとつの大きな世界的な逆境ですが、私たちは(自らの障害を乗り越えていることで)その対処の仕方を知っています。パンデミックの乗り越え方、そして身の回りの状況が常に変化し続けている事態への対応の仕方を知っているアスリート群がいるとすれば、他でもない私たちです。パラアスリートは、その辺りのことをオリンピックのアスリートよりも上手くできると思います
ワクチンを接種した瞬間に『はい、パンデミックは終わった、じゃあ評価しよう』となる必要はありません。時間がかかる場合もあります。それでも良いのです。私の場合、突然に障害者になってしまった事実を乗り越えるのに少なくとも5年はかかりました。年数はかかりましたが、それでよいのです
いつだって気に入らないようなことは起こりえますが、年月を経て学んだことは、時にはレジリエンスが無いときがあっても良いということです。私にとって大切なことは、レジリエンスがないときはそれでも良いと認めてあげること、悲しかったり腹が立ったりしても良いのです。でも上手くいったとき、レジリエンスを発揮して強くなれたときは自分に誇りを持てば良い。自分に誇りを持てれば、さらに強くなれます。どれだけ周りの人が褒めてくれたり喜んでくれたりしたとしても、最終的には自分自身が喜べるようでないといけませんから
・障害を有するからこそ、マイナスの事態への対処法を知っていること。
・自分を評価するに年月がかかるけれども、それはそれでよいということ。
・レジリエンスがないときはそれでも良いと見つめてあげ、悲しくてもいいし腹が立っても良いこと。
・周りの人の評価よりも、最終的には自分が喜べればよいこと。
こんな考え方を持つことが、セルフカインドネスなのでしょうね。
【引用・参考記事】
NHK「東京2020パラリンピック」サイトの「リポーター奮闘日記」
・記事→「今を切り開く力 ―パラアスリートがもつレジリエンス」
・記者→「後藤祐季さん」
5.セルフコンパッションに関する今までの投稿一覧
最新ブログ → http://tsunami2013.org/
5.母を亡くしました:コモンヒューマニティー・マインドフルネス
8.罪悪感と怒りとは同じものかもしれません:セルフカインドネス
9.悲しみは誰でも持っている。『でんでん虫の悲しみ』(新美南吉):コモンヒューマニティー
10.対話は、理解よりも共感が大切! -書籍と映画を通じて-:マインドフルネス
11.「自己責任論」を「セルフコンパッション」で乗り超える:セルフカインドネス
12.自分の思い込みを知って、楽に生きよう!:マインドフルネス
13.映画「ありがとう、トニ・エルドマン」にみる父と娘:マインドフルネス
14.気持ちを素直に伝える。これがアサーションという権利:マインドフルネス
15.押してもダメなら引いてみな。「逆櫓の構え」:セルフカインドネス
16.コミュニケーション能力が低いのは誰だ?:セルフカインドネス
18.心を開いて~ZARDの歌詞から思ったこと:コモンヒューマニティー
22.大人の願いと、子どもの受け止め方:コモンヒューマニティー
23.想像力(再度、でんでん虫の悲しみ):コモンヒューマニティー
25.何を言われたって平気(ホイットニー・ヒューストンの曲):セルフカインドネス
32.コロナの負の連鎖を断ち感謝や支援を:コモンヒューマニティー
33.過去は変わらない。でも、過去の解釈は変えられる:マインドフルネス
35.だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。:マインドフルネス
39.やぎさんゆうびん ♪お手紙、美味しいのかな?♪:コモンヒューマニティー
41.建前の自分と本当の自分で悩む? その前に「生きている自分」がいるよ:コモンヒューマニティー
43.自己嫌悪・・・理想の自分と現実の自分とのギャップ :マインドフルネス
47.割れ目が入っている鐘を叩くオードリー・タン氏。:セルフカインドネス・コモンヒューマニティー
48.春の予感・・・今咲いている草木を愛でる :マインドフルネス
49.全ての人々がマイノリティー。オードリー・タン氏の言葉に思うこと :コモンヒューマニティー
50.オードリー・タン台湾IT担当相が好きな歌 :マインドフルネス
52.雨にも負けず、でも涙を流し、おろおろ歩く。:セルフカインドネス
53.「ありたい自分」と「あるべき自分」ではなく、「あるがままの自分」に軸足を置こう:セルフカインドネス
54.皮肉な名言集で、安心しよう。:セルフカインドネス・コモンヒューマニティー
56.人間関係の悩み、3つの解決方法をご紹介:コモンヒューマニティー
57.「報われない努力の方が多い」と考えると楽です。:セルフカインドネス
58.「ことわざ」に縛られていませんか? :マインドフルネス
59.パラリンピック選手が語る「レジリエンス」:セルフカインドネス